第二話

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 ギムナスに連れられ、職員室を後にする。 職員室の横にある階段を上りすぐの所に、目当ての教室があった。 「ここが俺が受け持っているクラスでお前が入ることになるクラス、A組だ。俺が先に入るから、俺が入って来いと言ったら入って来い」 「あぁ」 教室の扉を開け、ギムナスが教室の中へと入っていく。 教室の中から感じる気配は36。 気配を隠している奴が居る可能性も少なからずあるが、俺に悟られないレベルで気配を隠せる生徒が居るとは考え辛い。 つまり、1人は教師のギムナスである事を考えると、このクラスは俺を含めて36人ということになる。 「…さて、今日は突然だがこのクラスに一人転入生が入る事になった。…入って来い」 ギムナスの言葉を聞いて、教室内が喧騒に包まれる。 昨日の夜に突然決まったことだ。 情報が漏れている可能性は低い。驚くのも無理もないだろう。 俺は教室の扉を開き、中に入る。 制服に身を包んだ俺と同年代位の奴等が席に座っていて、皆一様に俺を見ている。 歩きながら数を数えてみる。 数はギムナスを除いて35人だった。ギムナスを含めて36。 俺が先程感じた気配の数と一緒だった。 「突然の転入だが、色々と事情があってな。さて、自己紹介をしてくれ」 「ギムナス・ゲイレムナスだ。これからよろしく」 「そう、こいつはギムナス…って待て!それは俺の名前だろ!?ってかどこでフルネームを知った!?」 「職員室のあんたの机の上の書類の一つに書いてあったぜ?」 「書いてあったぜ?じゃねーよ!だからってなんで自己紹介で俺の名前を名乗るんだよ!」 「何となくだ」 俺とギムナスのやり取りを見てか、教室中が笑いに包まれる。 別にウケを狙ったわけじゃなく、なんとなくだったのだが。 だが存外ノリのわかる奴等で俺は少し嬉しいぜ。 「全く…本当にお前って奴は…。ほら、真面目に自己紹介しろ」 「ギムナスの野郎が変な事言うからやっと自己紹介が出来るぜ」 「変な事言ってるのはお前だろうが!つーか少なくとも学園内では先生を付けろ!」 「ヴァイス・ルーサーだ。これからよろしく」 ギムナスをスルーして自己紹介をする。 といっても、名前を名乗って挨拶をしただけだが。
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