第二話

15/40
前へ
/59ページ
次へ
「全く…。まぁ、こんな奴だが仲良くしてやってくれ。ヴァイス、お前は窓際の一番後ろに座ってくれ」 「わかった」 「先生ちょっと待ってよー。少しくらい転入生への質問コーナーとか設けてくれないわけー?」 「そうだぜ。それくらいいいじゃねーか」 「次ギムナス先生の授業だし多少はいいじゃん」 席へ向かおうとしたら生徒からそんな声が上がる。 質問?めんどくせぇからやめてくれ。 どうせくだらない質問しか来ないんだろ?今日朝食べた物とか、パンツの色とかそんなんだろ? 「ったく…しょうがねぇなぁ。少しくらい時間取ってやる。質問ある奴は挙手しろ」 次の瞬間、半数以上の生徒の手が挙がる。 一体なんなんだ、何を質問する気だこいつら。 「武器は何を使ってるんですかー?」 「相手を殴る為の…右手…あとそのための拳?だ」 「魔力はどれくらいー?」 「1日の平均排尿量くらいだ」 「好きなタイプは?」 「特にないな」 案の定くだらない質問ばかりだ。 適当に答えているが、次から次へと手が挙がってキリがない。 それを見かねたのか、ギムナスが助け船を出してくれた。 「お前ら質問多すぎだ!次の奴で最後だ!最後は…ん?ソル、お前さっきまで手を挙げてなかったよな。じゃあソル、お前で最後だ」 ソル。 その名前を聞いた瞬間、俺の頭の中に一人の姿が浮かぶ。 両親に愛されていた少年。 俺を地べたに這いつくばる犬畜生を見るような目で見ていた少年。 ストレスが溜まった時、容赦なく魔法を放ってきた少年。 新しく覚えた魔法の実験台と称して魔法を放ってきた少年。 自分の、双子の弟であった少年。 「ギムナス先生、ありがとうございます!えーっと…ヴァイスくんだったよね。魔法の適正属性は何か教えて貰ってもいいかな?」
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加