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「ヴァイスくん!コロシアムの場所わかるのーっ!って…行っちゃった」
「…アリス。彼は何者だい?」
「えっ?何者って?」
「彼は今、僕がクラスで一番強いと言っていた。確かに僕は入学してからの模擬戦で負けていない。一番かどうかはわからないけど、弱くはないと思う。それをどうして彼が知っている?アリスが話したのかい?」
「そういえばそうだね…私も話してないし、ヴァイスくんはこの町に来たばっか…なんでだろう?」
「腕が立つ者は…対峙しただけで相手の力量を推し測る事が出来る、と聞いた事がある。僕はまだその領域に達してないが…まさか彼は…その領域まで達しているのか…?」
「私、思い当たる節あるかも」
「本当かい?」
「うん。昨日私、放課後護衛を撒いて出歩いてたの。そしたら男の人達二人に捕まって誘拐されそうになったんだ」
「なんだって!?今ここにこうしている事が無事だったことの証明になっているが…」
「このことは他の人には言わないでね。でね、その時に助けてくれたのがヴァイスくんなの」
「それで二人は知り合いだったわけか」
「そう。それでね、その誘拐犯の人達は見た目は凄い屈強で強そうだった。それをヴァイスくんは武器も魔法も使うことなく素手だけで一瞬で二人を倒したの」
「それは…確かに凄いが…。相手が見た目だけだった可能性もあるんじゃないか?」
「その可能性もあるかもね。でも一人はナイフ、もう一人は拳銃を持ってたの。それにも関わらず素手で一瞬、だよ」
「…相手は武器、しかも拳銃だなんて。圧倒的に不利じゃないか」
「拳銃を撃たれる前に一瞬で間合いを詰めて顔を殴って相手は気絶したの。その間合いを詰める時の動きが、私は見えなかった。多分相手も見えてなかったと思う」
「目にも止まらぬ速さ…風魔法の使い手なのか…?でもそうか…その場に居なかったからまだ判断するには早計だが…彼は相当強そうな気がするね」
「私もそう思う。しかも最終的には拳銃を足で踏み潰してた」
「…拳銃を足で?鉄の塊だぞ…?」
「私もびっくりしたよ。凄く突っ込みたかった」
「まぁいい。そろそろ行こうか。彼の強さは、この後きっとわかるはずさ」
「そうだね」
そうして、二人は歩き出す。
アリスは心の中でヴァイスが迷子になっていないか心配していた。
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