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第1章 揺れる魔王と…
ダークロードは、困惑していた。
覚悟を決めようと、拳に力を込め握りしめるも、中々決まらない。
だだっ広い謁見の間にて、留奈が来る事を嬉しくも悲しい気持ちを隠しきれずにいた。
「………。くっ。」
「ダークロード。
相手は人間なのだ。
お前とは相容れない存在。
諦めよ。」
「わかっている。
わかってはいるのだ。
兄よ……。
だが…………。」
悔しさにゆがむ顔を俯き隠し、時折、玉座の手すりを強く叩く。
ダークロードは、まともに戦える状態ではなかった。
「ダークロード。
お前が戦えぬのなら、私があの小娘を……」
「やめろ!!マモン!!
わかっておる!我がやらねばならぬのだ!!」
「…………。
ならば、やってみろ……
出来ぬ時は……わかっているな。」
マモンは、ダークロードに釘をさすように言うとダークロードの背後から姿を消す。
〝我は…どうすれば良いのだ……。
………もはや、なるようにしかならない。
ならば……我も心を捨てよう。〟
望まぬ戦いを前にダークロードは、自らの心を闇に沈めて行った。
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