4人が本棚に入れています
本棚に追加
第1章 揺れる魔王と…
ダークロードは、困惑していた。
覚悟を決めようと、拳に力を込め握りしめるも、中々決まらない。
だだっ広い謁見の間にて、留奈が来る事を嬉しくも悲しい気持ちを隠しきれずにいた。
「………。くっ。」
「ダークロード。
相手は人間なのだ。
お前とは相容れない存在。
諦めよ。」
「わかっている。
わかってはいるのだ。
兄よ……。
だが…………。」
悔しさにゆがむ顔を俯き隠し、時折、玉座の手すりを強く叩く。
ダークロードは、まともに戦える状態ではなかった。
「ダークロード。
お前が戦えぬのなら、私があの小娘を……」
「やめろ!!マモン!!
わかっておる!我がやらねばならぬのだ!!」
「…………。
ならば、やってみろ……
出来ぬ時は……わかっているな。」
マモンは、ダークロードに釘をさすように言うとダークロードの背後から姿を消す。
〝我は…どうすれば良いのだ……。
………もはや、なるようにしかならない。
ならば……我も心を捨てよう。〟
望まぬ戦いを前にダークロードは、自らの心を闇に沈めて行った。
最初のコメントを投稿しよう!