第1章 揺れる魔王と…

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ダークロードも、笑顔を取り戻し、立ち上がる。 「我も英雄か……。 闇の英雄。 魔界の覇者の座も悪くはあるまい。」 「うん。」 「我はダークロード! 魔界を制する者なり!」 「プッ……!」 「くっくっくっくっ……。ハッ!?」 「ダークネスサンダーボルト。」 笑いあう二人。 そんなひと時もつかの間、城内が突如、黒雲に包まれ、黒い稲光が留奈に向かって落ちてきた。 「あっ……あぁぁぁ……」 「いっ。いかん!!! ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 「おっ!お父さん!?」 油断していたこともあり、身動き一つできなかった留奈を突き飛ばし、落雷を受けるダークロード。 目の前で感電する様を間近で見てしまった留奈は放心し、その様をぽかんと見つめている。 「ちっ!。 馬鹿なやつめ。 もう少しでやれたものを……」 コツン…コツン…と響く靴音。 その音は留奈の背後でとまり、留奈の首筋に冷たい金属の様なものが当てられた。 「私は、マモン。 強欲の悪魔である。」 〝マ……モ………ン…〟 「馬鹿な弟が世話になったな… 人間には、興味があるのだが… お前は、魔王ベルゼブブに目をつけられてしまった不運な少女。」 マモンは、剣を持つ手と逆の手で魔力をため始める。 そんな中、また、留奈の脳裏に直接語りかけてくる様な声が聞こえてきた。 〝お前の本性は、死神。 けして逃れる術はない。〟 ドクン!と血が逆流するかの様な感覚と過去の悪夢がよみがえる。 「お嬢さん。迷子かい?」 「高く売れそうなガキだな…」 「留奈ちゃん逃げて!」 「留奈っ。」 〝おかあ……さん……〟 ドクン…… 「うあぁぁぁぁぁぁ!!!」 「潔く死……なっ!!?なんだと!?」 「がぁぁぁぁぁ!!!」 死神の少女と化した留奈は、瞬時に武器を取り、マモンの剣を弾くとそのまま、マモンの頬に傷をつける。 「マインド……ビーストか!?」 不意をつかれたマモンは、留奈から距離を取り、剣を構えなおし驚愕する。
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