3人が本棚に入れています
本棚に追加
「托斗ー?早く食べないと、そろそろ皆来るわよー?」
「!?」
隣の部屋から母が叫んだ。
それを聞いた托斗は慌ててリモコンをテレビに向けて電源を切る。
そして、すぐに箸を持ち止めていた食事を再開し少しスピードを上げて口に入れていった。
普段なら、別にテレビを慌てて消す必要はない。
だがニュースの内容が家族にとって良くないのだ。
2年前に政府に連行された兄が、ニュースで挙げていた特別法002号の対象校に選ばれたが、事を終えた後政府により連行された。
当時まだ小学生だった托斗には何故連行されたのか分からない。
しかし、両親はあまりにのショックで泣き崩れあの日以来テレビのニュースは天気予報以外は映さないよう托斗なりの気遣いなのだ。
「托斗?まだ食べてるの?早くしないと、本当にみんな来ちゃうわよ」
托斗の着替えの服を用意終えた母がリビングに戻ってきた。
「もう食べ終わるよ」
そういうと、最後の一口を終えて席を立ち托斗は用意された着替えの服を持ち2階へ上がった。
最初のコメントを投稿しよう!