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「これと、あとこれもか・・・」
時刻は6時55分。朝食を終えて歯磨きも終え托斗は再び2階へ自分の部屋で部活の準備を進めていた。
今日はいつもよりハードな練習スケジュールだった事を思い出し、いつも以上に念入りに準備を整える。
コンコンッ
部屋のもう一つ窓を外からノックするような音を耳が捉える。
「ん?優香・・・?」
托斗は準備していた手を止めて窓に向けて近寄る。
ノックする音は托斗が寄ってきた事に、気づいて止めた。
「なんだよ、どうした?」
窓を開けるとサラッとした黒いセミロングの女の子が窓から顔を出して手を振っている。
彼女の名前は、菊池 優香。托斗と同じ学年で剣道部であり数少ない幼なじみである。
「今日、終わった後3人で一緒に家でご飯食べない?」
幼なじみの縁からか優香と両親とは付き合いが長い。彼女のお姉さんも知り合いで仲が良かったが、2年前に亡くなっている。
そんな家族の大事な娘を一人亡くして両親はかなりダメージを負ったが優香の明るい性格で少しずつ元気を取り戻している。
もちろん優香もダメージを負っている最愛の姉を失って最初の頃は口も聞いてくれなかったが、彼女も徐々に元気を取り戻している。
しかし、3人。
3人というのは俺と優香ともう1人は分かっていた。
「俺はいい。俺がいたら優香も気まずくなるし、それに・・・あいつはもう昔のように戻れないよ」
名前は出さなかった。
言わなくたって分かってる優香は。
「そんな事ないよ!私は全然大丈夫!霧ーー」
「托斗ー!?そろそろみんな来るわよー!?」
優香が少し必死で喋っている途中に下から母が大声で急かし始めた。
「分かってる!・・・そんな事より、優香こんなゆっくりしてていいのか?今日担当だろ?」
「あっ、ホントだ。托斗!この話終わった後で続きするからね!」
バタンっと捨て台詞を吐いて窓を閉めた。
托斗は時間を見て、そろそろヤバいと感じて急いで支度を整えた。
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