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施設の中に足を踏み入れると、大きく広がったメインホールのような場所に軍服を着た自衛官が至る所に集まって会話を行なっている。
そんな雰囲気の中、黒服を着た少年は無言のまま真っ直ぐ歩き目の前にある受付へと足を運んだ。
すると。自衛官達はそんな黒服を着た少年を見て会話が止まり、慌てて自分の職務に戻っていく。
彼から漂う空気は殺気でもなく、威圧感。
そんな自衛官から感じられたのは殺気だと捉えたのだ。
そして、受付の自衛官も彼を見て慌て敬礼をする。
「お、お疲れ様です!」
「出所命令が降りた。鈴木貴史はどこの部屋だ?」
「はっ!この奥にある階段を降りて地下二階の203号室です!もう既に、一人執行人の方が到着しています!」
もう一人の執行人?
執行人が来ることに、少年は疑問を感じた。
「ここには、俺が以外来るという連絡は受けていないが?」
「それが、特務官からの指示らしく・・・なんでも2ヶ月ぐらい前に入った新人だそうです」
特務官。
また、俺に内緒で指示か・・・。
少年は軽く溜息をつく。
表情からは怒っている訳でもない。ただ少し、呆れていた。
「わかった」
少年は低い声で了承し、受付の自衛官から部屋の鍵を受け取り奥にある階段へ向かった。
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