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プロローグ
月明かりの下
とぼとぼ歩く
金の切れ目が
縁の切れ目と放り出され
独り身の心や財布もすきま風
古い屋台の灯りが見える。
「そいつが、不思議なんだよ。」
「何が不思議だよオメエがおけらなんて?何時もの話じゃねーか?金を取る方が馬鹿らしいぜ!お前が金持ちに見えたりするのがおかしいだろうが?」
遊女に銭を全て吐き出して、財布が閑古鳥のお隣さんの話を、これまた同じような独り者が聞いている。
「いいやそう言うんじゃなくて!屋台が不思議なんだよ!!あの小石川迄とか?気味の悪い屋台の噂知っているだろう?何から何まで、その屋台と一緒なんだけど…。まぁ、おめえその幽霊屋台に出くわしているから、話がわかるだろうけど…とにかくよく話を聞いてくれねーか?」
何だかゾワゾワとしながら、隣近所のよしみで男は気味の悪いお話を聞くことにした。二人して慌てて大家に話を持って行ったのは?悪戯にしては気味の悪い話だったからで……
大家がもっと上の人間に、話を持って行った時には、殺人事件までに膨らんでしまっていた。もっともこれは、酒呑みのいい加減な記憶違いだったらしいが…
この騒ぎが、三島屋と言う目黒不動尊近くの小間物を扱う店の主の耳に入った。
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