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相変わらず私の記憶は戻ってません。
─────ピンポーン…
実家のインターホンが鳴ったのは、
退屈さを感じ、
ソファーで眠りに落ちそうな時でした。
─────…誰?
そう思うのは必然。
私が退院してから今まで、
この家に来客など一度もなかったのだから。
「おーい!彩音ぇーいるんでしょ~?早くドア開けなさいよー」
声の主は女のようだ。
女は大声で叫びながらドアを激しく叩く。
………。
やかましい、そして偉く図々しい。
私の名前を叫んでいるから、
私の知り合いか?
まだ記憶が戻らないから分からない。
そのせいか、
あまりドアを開ける事に気が進まない…。
「早く開けろっ!バカ彩音っ!おーい?おーい!早く開けなさいっばぁ~」
そんな感じで、どんどん激しくなる呼びかけに仕方なくドアを開けた。
開いたドアの前には、
私と同じ歳くらいの女の子が1人と、
その女の子より少し大人っぽさを感じさせる若い男が2人。
「おっ!?やっと開いた!いるんなら10秒くらいでパッと開けなさいよー。時間がもったいないじゃない?」
腕を組み、
まるで女王様のような態度の女の子。
その光景を見ていた男の子達は、
まるで呆れたように溜め息をついた。
常に目を閉じているような顔をしている男の子が落ち着いた物腰で話し始める。
「…とりま、上がらしてくれない?」
うーん……
“この見知らぬ女の子と男の子達を家にあげるべきだろか?”
…と私は本気で悩んだ。
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