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悩んだ挙げ句、
妙な3人組を家に招き入れて、
そそくさと冷たい飲み物を人数分並べた私。
バタバタが一段落して、
テーブルに座り、
ふぅ…っと小さくため息をついた。
私の目の前に座っている女の子がジィーッと私の顔を覗きこんでいる。
女の子の両隣には男達が座っている。
優しそうだった男も、
女の子と同じように私の顔を覗きこんでいる。
もう1人の感じ悪そうな男は、
私と目を合わせようともせず、
どこか落ち着かない感じでキョロキョロと周りを見ながら、
飲み物を飲んでいた。
「せっかく来てもらったのにごめんなさい。
まだ記憶が戻ってなくて、
あなた達が誰なのか思い出せない…。
良かったらどんな関係だったのか教えてくれないかな?」
「んー、正直に言うね。実は私達、彩音とは初対面なんだ。」
「え?」
「正確には名前しか知らなかったし、私達ね、彩音とは違う学校なんだけど…
私の後輩が彩音って子が私達の知り合いだった子に似てるって言っててね。ちょっと見に来てみたの!」
「知り合い?似てる?」
「うん、すっごく似てる。」
「そんなに似てる?」
「うん。」
2人は黙って頷いたが、
1人だけ、あの愛想の悪い男が納得いかないように呟いた。
「…全然似てねーよ。だってもう深雪(みゆき)は…」
最後のほうは小さすぎて良く聞き取れなかった。
「なぁもういいだろ?
この子は深雪じゃないし、
たとえ似てたとしても別人だ。
誰も深雪の代わりにはならない。
だからもう行こうぜ。」
この男と、深雪って人に何があったんだろ?
それより皮肉みたいに言われて、
なんかムカついた。
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