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楚楚と、可愛らしい泣き方ができればいいけど、悲しいかな、涙がでれば自然と鼻水も出るもので。
涙と鼻水でグシャグシャになった自分の顔しか浮かばない。
――うん。避けて通れるものなら、避けたいイベントだ。
「……もう挨拶しちゃったんだから、いいんじゃないかなぁ。ほら、私の実家、かなり遠いし」
そうそう。
改めて報告するのも、なんとなく恥ずかしいし。
内心、そう自分に言い訳をしていると、ニッコリと面々の笑顔で却下されてしまった。
「それはそれ、これはこれ。やっぱりこういうことは、きっちりケジメをつけないと。きちんと正座して『お嬢さんを私に下さい』ってやつを決めなきゃだろ?」
「……」
あはははと、浮かべた笑いが若干引きつる。
どうやら、イベントの一つは予定確定らしい。
その前に、目前に迫っている、もう一つの一大イベントがある。
『未来のオシュウトメさんと初顔合わせ』
私的には、こっちの方が重大だった。
――第22話に続く――
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