26恋慕-3

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そこで言葉を切った課長は、おもむろに立ち上がった。 そのまま、私の座っている場所まで歩みよると、すぐ横に膝を落とした。 胡坐じゃなく、正座。 何事かと面喰いつつも、私は、課長の方へ体の向きを変える。 膝を突き合わせて向かい合ったこの状況に、 この先に待っている、話しの続きに、 ドキドキと、鼓動が早くなっていく。 「課長……?」 心臓の音が聞こえそうな沈黙に耐え切れずに、思わず口を開けば、課長は、少し苦笑気味に口の端を上げた。 「二人の時は、名前を呼んでくれないか?」 「……えっ?」 何を言われるのかと身構えていただけに、放たれた予想外の言葉に、間抜けな声が出てしまう。 「まさか、課長フェチとかいうんじゃないよな?」 「えっ!?」 課長フェチっ!? 「だから、二人の時は、名前」 前にも、こんなやり取りをした気がする。 この話しの流れで、 このタイミングで、 膝を突き合わせて正座して、語る話題ですか、課長!
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