26恋慕-3

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降り注ぐ、 甘い、 甘すぎるキスの雨に、心も体も溶けだしそう。 そんな、溶けるような幸福感に、私は満たされていく。 それなのに。 こんなに近くにいるのに、 どうして、こんなに、胸の奥が苦しくなるのか、 泣きたいくらいの、切なさが、あふれ出すのか、 よく分からない。 近づけば近づくほど、身の内の想いは更に募って行くばかりで、際限がない。 もっと、近づきたい。 もっと、知りたい。 もっと、もっと、と。 ――ああ、私って、なんて、欲が深いんだろう。 ひとしきり、私の唇を味わった後、 課長は、私の額に自分の額を『こつん』とくっつけて、クスリと笑った。 「梓の唇は、いつも甘いな」 落とされた囁きに、私もクスクスと笑って、囁き返す。 「課長の唇だって、甘いですよ」 「甘いか?」 「甘ーいです」 だから、きっと、やみつきになるんだ――。
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