26恋慕-3

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いつもいつも、 人をからかっては、楽しんでいる。 この、いじめっ子! 言いたいことは、羞恥心が蓋をして、頭の中をぐるぐると回る。 そんな私を、楽しげに見やり、 課長は、さらりと、とんでもないことを口にした。 「――結婚、しないか?」 『ケッコン、シナイカ』 放たれた言葉の意味を、呆然とそしゃくする。 ――ケッコンって、いうと、 男女が夫婦になる、 あの、華燭の典。 神様や神父様の前で永遠の愛を誓っちゃったりする、 ブライダルの、結婚……よね? 「……え?」 っと、間抜けな声が、思わず漏れてしまう。 信じられない思いで、課長の顔を見つめれば、課長は、困ったように、もう一度、少しだけニュアンスを変えて言い直した。 「俺と、結婚、してくれないか?」 冗談で言ってるんじゃないよ……ね?
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