第1章

15/53
前へ
/53ページ
次へ
 さて、 車であちこち移動できるようになってからは、 シドニー生活も快適となり、 ぐっとこちらの生活にも慣れてくる。  しかし、 こちらに来て半年くらいの間は、 いろいろ面食らったことも多々あった。 いわゆるカルチャー・ショックという奴である。 たとえば、 シドニーのシテイをりんごをかじりながら、 裸足で歩いている人を時々見かけるとか、 庭にカメレオンのような舌の青いオオトカゲ(ブルータン・青い舌と呼ばれていた)を見かけたとか、 電気屋へ行ってテレビを購入しようと思ったら、 陳列している品物だけで在庫は一切なかったとか、 家の電気製品が壊れたので修理を依頼したら、 業者が来るのに数ヶ月かかったとか、 話せば切りがない。 初めのうちはこちらもイライラしていたのだが、 やがて、 そんなことはどうでもよくなってしまった。 ここはニッポンではないのだ。 それより、 ビーチに行って日光浴を楽しんだり、 のんびりゴルフでもエンジョイしようよと。 やれやれ、 いつの間にやらこちらもオージー流が身に付いてしまったのである。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加