第1章

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そんなある日、 たしか8月下旬(日本では2月)だったと思うが、 私たち夫婦は市内のトーマス・クック旅行代理店で見つけたキャンベラ・ファームステイ(農場体験)ツアーに参加した。 シドニー・キングスフォードスミス空港からオーストラリアン航空で約30分でキャンベラに到着。 キャンベラは言わずと知れたオーストラリアの首都である。 昔、 シドニーとメルボルンのどっちを首都にするかという議論が巻き起り、 なかなか決まらなかった。 そこで政治的決着として、 両者の中間点を首都にしようということになり人工都市キャンベラが建設された。 政治的に造られた都市なので、 国家の中枢機能である国会議事堂、 現職のポール・キーティング首相が執務する首相官邸、 最高裁判所、 中央官庁、 各国の大使館などが森の中に存在するが、 それ以外は何もないという不思議な都市である。 何となくSF小説に出てくる未来都市を想像してしまったのは私だけだろうか?ツアー一行はキャンベラ空港からバスに乗車し、 オーストラリアの国家中枢機能を巡回してまわる。 中でも名物は、 各国のお国柄が良く建物に表現されている大使館巡りと連邦国会議事堂であろう。 大使館街にはもちろん、
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