第1章

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 じっとその暗黒の方向を見つめていると、 小さな2つの光が、 あちらこちらで光っている。 「あれがカンガルー、 これがポッサムだよ」とご主人が説明してくれた。 見上げると空には、 無数の星が瞬いていた。 およそ、 日本では考えられないほどの星の数だった。 ご主人は、 指をさし示し、 サザンクロス(南十字星)の位置を教えてくれた。  次の日は快晴だった。 私たちは牧場で乗馬を楽しんだり、 また山に分け入り、 落ち葉や枯れ木を集めて火を起して、 肉を焼いて食べた。 こうして、 素朴なもてなしを受け2日間の充実した時間を過ごし、 私たちはキャンベラを後にして、 シドニーに戻った(シドニーに戻ったという事実がいやが応でもオーストラリアに住んでいることを実感させられた瞬間でもあった)。
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