第1章

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3月下旬、 シドニー・キングスフォードスミス空港に降り立って、 まず感じたことは空気が澄んでいるということ。 まるで軽井沢にいるかのような爽やかな気分だったことを覚えている。 この「快適さ」がその後、 4年間にわたるオーストラリア生活の重要なキーワードになろうとは知る由もなかった。 空港まで迎えに来てくれた上司の車に乗って、 市内へ向かう。 道路も沿道の住宅も実に広々としていて、 その間に緑の美しいゴルフ場が点在している。 車窓からずっと遠くに見えていたビルの摩天楼がすぐ近く迫ってくると市内中心部(シティ)も近い。 ほどなくウインヤードのホテルに到着した。 ウインヤードは鉄道、 バス、 ビジネスの一大拠点で、 朝夕のラッシュ時には通勤客で非常に混雑する(といっても新宿ほどではないが)。
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