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3月31日は年度末で区切りの日だ。
今日、日本のエアラインから、B747がいなくなる。
長年、多くの旅客を運び、航空業界を支えた大型機も、時流の流れには乗りきれなかったようだ。
高遠秋良(たかとう あきら)は、カートを引いてターミナルを歩く。
今日の乗務も終わり、後は残務処理を片付けるのみ。
残念ながら彼女がつとめるターミナルとは逆方向。喧噪だけでも体感するのは無理だった。
747のラストフライトには多くの航空ファンや退役を惜しむ人々が空港に集っていると人伝に聞いた。
消防自動車二台によるウォーターキャノン、放水アーチをくぐり抜けた機体は虹を纏っていたと。
あなたも今日で最後なのね。
ターミナルがあるほうへ目線を送った。
そして、今日。秋良にとっても年度末。
今日を限りに、客室乗務員としてのキャリアが終わる。ひとつの区切りを迎えることになるのだから。
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