マユリ

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拭っても拭ってもすぐに溢れる涙など構っていられない。 私は手に持てるだけの必要最低限の荷物をボストンバックに積めていく。 最後に指輪をテーブルに置いていこうと指から抜こうとした時だった。 私の大好きな曲が流れる。 ドクンと心臓が大きく跳ねた。 スマホの画面を見なくても着信相手が誰だかわかる。 ヒロだ……。 あれから4時間がたっていた。 一瞬出るのをためらったが、これで最後かもしれないと思い通話をタップする。 「……もしもし」 「マユリ!!違うんだ!ごめん、俺、あの……借金が!レンアイアプリで!」 借金?レンアイアプリ? 何を言っているのかよくわからない。 ヒロはだいぶ混乱しているようだった。
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