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扉を開けた先にはただ広い空間が広がっていた
雰囲気はホールと似ていて壁にロウソクが灯っているだけで全体的に薄暗い
ただホールと決定的に違い、辺りを息苦しい程の気配が支配していた
そして何より俺を警戒させる要因になっているのはーー辺りに漂う血の匂いー…
むせ返るような血の匂いに俺は思わず顔をしかめるーーこの場所で何があったのだろうかー…
俺はゆっくりと歩みを進め入ってきた扉を閉める
もう後戻りは出来ないー…
注意深く辺りを見渡すーー警戒心は決して緩めないー…
そんな時ーー部屋の奥に見慣れない物が視界に写る
赤や青等、計七色のひし形の宝石の様なモノ
それが左右対称に7つずつ"浮かび、怪しい光を発している"ー…
「―何なんだ…あれは…?」
俺はそんなことを呟きながら一歩その浮かぶ宝石に向かって足を進める―…
だが、すぐその歩みを止める
薄暗くて気づかなかったが、その宝石の上には木の枝の様な物がついており
そこに宝石がぶら下がっていた
そして薄暗さに目が慣れ始めた頃―…
その左右対称の宝石の中心に"人影"が見えた
遠目に見た感じ、幼い少女だった―
白い帽子に赤の半袖服に赤のスカート
何故、少女がこんなところに居るのか――普通はそんなことを考えるのかもしれない
だが俺はそんなことを考える余裕はなかった
何故なら―先程の木の枝や宝石は少女の背から出ていた
そして、少女から感じる気配
それは扉のノブに手をかけた時のモノに酷似していた
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