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暫く少女を眺めていると不意に少女が顔を上げ、此方を見上げー…
「―……だぁれ?」
首を軽く傾げ、そう尋ねてきた
その声は見た目相応の幼い声ーーとても自分が感じている気配を思わせない声だった
だが、俺はその問いに答えることはなかった――いや、出来なかった
何も答えずにずっと少女を見つめていると少女は再び口を開くー…
「―……新しいおもちゃ?」
「―…は?」
俺は少女の言葉の意味が判らず、情けない声を上げていた
そんな時少女と目があった
その瞳を俺は知っている
"孤独"――それを思わせる瞳、俺と同じ目だー…
俺がそんなことを考えていると、少女はゆっくりと立ち上がる
先程の木の枝の様なモノと宝石も立ち上がる少女に合わせて高さを上げる
やはり"アレ"は少女の背から出ているみたいだー…
「―…ねぇ…お兄さんの名前はなぁに?」
不意に立ち上がった少女はそんなことを尋ねてきた
俺は警戒心を緩めないまま、少女を見据えー…
「―…片倉…拓哉(カタクラタクヤ)だ」
―と、そう答えた
それを聞いた少女はクスクスと笑いだしていた
(―名前を名乗って笑われたのは初めてだ…)
そんなことを考えながら少女を見据えていると
少女はニッコリ微笑みながら
「―私はフラン…フランドール・スカーレットだよっ」
そう名乗った
フランドール・スカーレットーーそれが少女の名らしい
名前から海外の人間みたいだが――それ以前に背中の"アレ"で人間かどうかも怪しいー…
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