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互いの自己紹介を終えた2人は暫く見つめ合っていた
俺はその視線を少女ーーフランの足元に移す
さっきまでは気づかなかったが、そこには無数の"手足が千切れたり引き裂かれた"ぬいぐるみが転がっていた
それを一別してから再びフランに視線を戻すと、再びフランと目線が合う
するとフランはニッコリと意味深な笑みを浮かべ、俺に向けて手をかざす
そしてー…
「―拓哉…カンタンニコワレナイデネ…?」
刹那ーーフランがそう呟いたと思うと
自分に向かって無数の赤色に光る玉が飛んできた
薄暗い空間に浮かぶ無数の赤色に光る玉はそれだけなら辺りを照らす神秘的な光にも見てとれる
だが、俺の本能が再び警告していた――この玉に触れてはならない、とー…
自分に向かって飛んでくる無数の玉を俺は反射的に体を動かし、かわし続ける
だが、密度が濃すぎるー…
(―このままじゃいずれ当たる…なら…)
俺は飛んでくる玉から大きく後ろに飛びながら、パンッと手を合わる
すると左の手のひらに小さな魔方陣が展開され、そこから"刀"の柄が現れる
俺はその柄を掴み、一気に引き抜く
「―千歳の儔…"小鴉丸天国(コガラスマルアヤクニ)"!」
そう叫んだ俺の手には"黒刀"が握られていた
刀身は艶のある黒、柄の部分も真っ黒に装飾された刀だった
「―…ふっ!」
俺は軽く息を吐きながら
自分に向かって飛んでくる玉に向かって刀を振るう
すると自分に向かって飛んでくる玉は2つに割れ、自分の左右に別れて飛んでいった
今までの感じだと別に全ての玉が自分に向かって飛んで来ている訳ではないようだ
だが、全ての玉が自分に飛んできている訳ではないとはいえ
展開された玉によって行動は制限されるー…
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