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(―大体この玉は何なんだよ…くそっ!)
内心、悪態をつきながら
自分に当たる可能性のある玉だけを刀を使い、最小限の動きで弾いたり
斬り伏せたりしながら何とか当たる事を避けていた
だが、今まで忘れていたが濡れた服を着たまま動き回るのは体力の消耗が激しすぎる
(―このままじゃじり貧だ…何か突破口を見つけないと…)
そんなことを考えていると不意に自分に向かって飛んでくる玉がフッと消え
周りを飛んでいた無数の玉も消滅していた
俺は何が起こったのか判らず、フランの方に視線を向ける
すると、フランはクスクスと口元に手をあて不気味な笑い声を上げ、こちらを見据えていた
「―なかなかしぶといね…拓哉……でもこれでどうかな…?」
フランはそう言いながらポケットから二枚のカードの様な物を取り出す
俺は何もせずフランを見据えていたが、あのカードの様な物が自分を追い込むための物だということは理解できたー…
「―いくよ…禁忌『フォーオブアカインド』」
フランは二枚の内一枚を掲げながら
そう宣言していた
刹那――俺は目の前の光景に身震いしていた
「―…嘘だろ」
俺の視線の先には――"四人に増えた"フランがこちらを見据え、不気味な笑みを浮かべていた
一人相手にするだけでも手こずっていたのにーーいきなり四人に増えるなんて―…
「―ちっ…千歳の儔…"雷切(ライキリ)"!」
軽く舌打ちをし
左手を振り上げ、下ろしながらそう叫ぶ
すると俺の目の前に新たな"刀"が地面に刺さった状態で出現した
新たに出現した"刀"は先程の黒刀とは違い
真っ白の刀身に、その名の通り雷を放っていた
その刀の柄を左手で握り、地面から引き抜き、構える
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