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―拓哉視点―
両手に握る刀を握りしめ、3人のフランに向け駆け出す
目の前の"敵"を排除する事だけを考えながら―…
「―コノッ!」
先程消滅したフランと一緒に前に出てきていたもう一人のフランが、向かっていく俺に燃える剣を振るってきた
俺はそれを右手の黒刀で受け止め、居合いの体勢に構えていた左手の雷切を一歩踏み込みながら振るうー…
「―ガッ!?」
振るわれた雷切は、フランの左腰から右肩まで深々と切り裂いた
斬られたフランは小さなうめき声を上げ、先程と同様に霧の様に消えていった
どうやらこのフランも分身の様だ
なら、残りのどちらかが本物だろうがそんなことはどうでもいい―…
ただ目の前の"敵"を斬り伏せるだけ――俺のやるべきことはそれだけだー…
「―残り…2人」
俺はそう呟きながら、残った2人のフランに視線を向ける
フランの顔には明らかな動揺が見てとれる
そんな中、再び刀を握り直し
2人のフランに向かい駆け出す
「―調子ニ…乗ルナァ!」
片方のフランはそう叫びながら、先程の様に玉をとばしながら弾幕を展開してくる
俺は最小限の動きでかわしつつ、進行の邪魔になる玉だけ刀で弾きながら徐々に距離を詰めていく
そしてー…
「―…ヒッ!?」
一気にフランとの距離を詰め、左手の雷切を隙だらけの腹部目掛け突き刺すーーそして、そのまま突き刺した雷切の刃をひねり、左方向に振り抜く
腹部を斬られたフランは、恐怖によるであろう悲鳴を上げただけで先程の様に霧の様に消えていった
また分身の様だ
なら残る一人が本体だろうー…
俺は此方を見据えるフランに視線を向け、左手に握る雷切から手を離す
すると、雷切は小さな光の玉になり左手に吸い込まれる
そして右手に握られた黒刀を
腰の位置に構え体勢を低くする
「―あと…1人…」
俺はそう呟きながら、フランに向かって駆け出すのだったー…
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