悪魔の妹『フランドール・スカーレット』

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―拓哉視点― あと1人ー… 俺は刀を腰の位置に構えたままフランとの距離を詰めていく そんな中、フランは弾幕を展開して俺の進行を止めようとしていた だが、俺はそれを見切り、最小限の動きでかわしつつ、距離を詰めていく そしてついに――俺の刀の範囲にフランを捉える だが、フランも反撃するために燃える剣を引いていた おそらく突き出すつもりだろうが、この距離なら俺の刀の方が速いー… 「―忌剣…"夜駆け"」 俺はそう呟きながら、フランの首元を狙って刀を振るう このまま振り抜けばフランの首は切り裂かれ絶命するだろうー… そうなれば俺は生きてここを出ることが出来る 目の前の"敵"を"殺せば"生きてー… あれ――? 何で殺さないといけないんだっけ―…? 『―この恩知らずが!』 不意にまた頭の中に声が響くー… だが先程の声とは違い、聞き覚えのある声 "あの日"――俺に向けられた周りの大人の言葉だ それを理解した瞬間、再び視界がスローモーションになる そして――また声が頭に響く 『―"次期当主"だからと調子に乗りやがって!』 それは俺が決めたことでも望んだことでもない 『―"片倉七振の家宝"を1人で所有するなど』 それは力を示すための目的であり、結果に過ぎない 『―そんな事の為に"実の父"まで手にかけるとは…』 違うー… それは父が申し込んできた試合を受けただけだ "真剣"による試合をー… 『―この"人殺し"!』 違う――違う違う違う! 俺はそんなつもりなんてーー殺してなんてー…
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