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「―…っああぁぁぁぁ!」
俺はそんな叫び声を上げると同時に
この勝負の決着はついたー…
俺が振るった黒刀は――フランの首を切り裂く事はなく、直前で停止していた
そして、フランの突き出した燃える剣は――俺の左腹部を深々と――貫いていた
「―…ごふっ……」
俺の口から血が零れ、零れた血がポタポタとフランの顔に落ちる
フランの首元で停止していた刀が手からこぼれ、地面に落ちる
口の中には血の味が広がり、貫かれた左腹部には燃えるような痛みが走るーー傷口からは尋常じゃない血が溢れていた
「―どうして…刀を止めたの…?」
不意に俺のすぐ目の前で左腹部を貫いたフランは俺の目を見上げながら、信じられないようにそう尋ねていた
確かに刀を振り抜いていればフランは首を切り裂かれ、俺が刺される事はなかったかもしれない
だが、それでも俺は刀を止めていたー…
「―何で…かな…不意に…怖く……なったんだ…」
俺は小さく苦笑いを浮かべ、途切れ途切れにそんなことを口にしていた
過去の出来事――フランに刀を振るった時に聞こえてきた声は間違いなくあの時の声
また同じことを繰り返すーーそう思った瞬間、刀を止めていた
それと共に一つの感情がー…
「―初めて…見たときの…君の目が…頭をよぎって…」
「―フランの…目…?」
俺の言葉に不思議そうにフランはそう呟いていた
そう、初めてフランを見たときの目――それは俺の目に似ていた
孤独をよく知る目にー…
「―俺は…ずっと…独りだった…から…」
俺はそう言って、何を思ったのかフランの頬に優しく触れる
そんな俺の行動に、フランはビクッと一瞬体を震わせたが、特に何もせず俺の行為を受け入れてくれた
「―似ていた…んだ…俺の目に……孤独を知る…目に…」
俺がそう言葉を続けると、フランは驚いた様な表情を浮かべた後、ゆっくりと俯いていた
これは俺の予測でしかないが――間違ってはいなかった様だー…
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