目覚めと新たな出会い

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「―……はっ!?」 その記憶を思い出すと同時に、俺は急に目を見開き、勢いよく体を起こしていた 思い出した――その地下に続く階段を降りていくと扉があって、それを開けた先には広い空間が広がっていた そしてーーそこに彼女が居たんだー… 「―フランドール…スカーレット…」 俺は不意に思い出したそんな名前を口にしていた 全て思い出した――それからなんやかんやあって彼女と戦うことになって、最後に俺は―腹部を貫かれてー… (―死んだ…筈じゃ…) 俺は頭を抱えながらそんなことを考える だが、俺は生きている様だ あれだけの致命傷を負っていながら―… そんな中、不意に俺は刺された腹部に手を当て視線を向ける おかしい――あの傷は明らかに致命傷だった あれからどれだけ時間がたっているか解らないが―… 「―痛みが…ない…?」 そう、まるで痛みを感じないのだ あれだけの傷を負っていながら生きている事さえ不思議なのにー… それに、今気づいたが、今俺が着ている服は俺の物ではない 誰かが着替えさせたのだろうかー… 俺は混乱しながらも、再び辺りを見渡す そして、枕元に置かれたあるモノを見つけ、それを手に取る それはーー俺の携帯だった 俺はゆっくりと手に取った携帯を開き――そして、目を疑ったー… 「―そんな…あれから3日しかたってないなんて…」 そうーーフランに腹部を刺されてから、まだ3日しか経過していなかった そして、その事実が俺の疑問を増幅させる 明らかな致命傷ーー運良く助かっても数ヶ月は完治にかかるような傷だったろうー… だが、今の俺は3日しかたっていないにも関わらず、痛みすら感じないのだ それは逆に俺の中に不安を生み出す (―俺は…生きているのか…?) 生きている――そう実感する事が出来ないのだ だが、現に心臓は動いているし呼吸も問題なくしている 俺の身に何が起こったのかーーいくら考えても答えは出てこないー…
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