目覚めと新たな出会い

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そんな事を考えているとーー不意にドアの開く音が部屋に響く 「―あら…目が覚めたようね」 突然開かれた扉の方からそんな声が聞こえ、部屋に入ってきた人物は此方へと歩み寄ってきた 俺はその声にハッとしたように顔を上げ、声のしたほうに視線を向ける どうやら、若い女性の様だがーーその女性は見知らぬ顔で、印象的な服装をしていた 「―…メイド…?」 俺は視線の先に映る女性を見て、そう呟いていた そう――目の前の女性はメイド服を身に付けていた 白と青を基調にしたメイド服で、女性によく似合っている印象を受けた そして、女性の綺麗な白銀の髪にはちゃんと白いカチューシャもついていた 「―私は十六夜咲夜(イザヨイサクヤ)…この"紅魔館"でメイド長をやっているわ」 不意に目の前にやって来ていた女性―咲夜はそう自己紹介をして手を差し出してきた 俺は暫く呆然としていたが、ハッとしてゆっくりとその手を握りー… 「―片倉…拓哉です…」 ぎこちなくそう自己紹介してから手を離す 十六夜咲夜ーー聞いたことない名前だし、そんな名前の知人は居なかった筈だ それよりも気になるワードが―… 紅魔館――それがこの館の名前らしいが 当然聞いたことはない そして、咲夜はこの紅魔館でメイド長をしているらしい メイド長と言うことは他にもメイドが居るのだろうか これだけ屋敷が広いと当然かもしれないが―… 「―そういえば目が覚めたら連れてくるように"お嬢様"に言われていたわね……もう動いても平気かしら?」 俺がそんなことを考えていると不意に咲夜はそんなことを尋ねてきた 咲夜の言う"お嬢様"ということはこの屋敷のトップなのだろう そのお嬢様が一体何の用だろうかー… そんなことを考えつつ、ゆっくりと体を動かしてみる 手足も問題なく動くしどこも痛みを感じないので問題ないだろうー… 「―…大丈夫です」 「―そう…ならついてきて頂戴」 俺の返事に咲夜は一度頷くと、そう言って踵を反して部屋の入口へとさっさと向かっていた そんな咲夜を見て、俺は慌ててベットから降り、咲夜から離れないようについていく 離れたらまた迷子になるだろうーーそんなことを考えつつ咲夜の後を追いかけるのだったー…
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