幻想入り

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雨が降りしきる森を小走りで走り続けて十数分― すると、ずっと続いていた森を抜けた 「―…ここは…湖?」 森を抜けた先に見えたのは大きな湖だった 今は雨の影響で水面は波立っている しかし、雨宿り出来るような場所は見当たらない それに―… (―こんな湖は見たことがない…それに家の近くに森すらもないはず…冷静に考えれば車でも2時間程度で行ける場所には森や湖なんて…) 考えれば考えるほど謎が増えていく むしろ答えから離れていってる様な気さえしてくるー… (―とにかく今は雨宿り出来る場所を探さないと…) 暫く湖を眺めながら思考を巡らしていたが雨にうたれ濡れた体が冷えてきたのか 思考が遮断され本来の目的を思いだす 今の季節は春先だが、それでも夜は冷える 雨が降って体が濡れてれば尚更だ 一度、目の前の見渡してから再び湖に沿って小走りで走り始めのだったー… 森を抜けてから小走りを続けること十数分程ー… 雨に濡れた体が寒さと服に重みを増し、体力を奪い続ける中 遠目に何かが見え始めた 雨の影響か遠目ではよく見えなかったが、近づくにつれ"それ"ははっきりと見え始めた 「―これは…館…?」 目の前までたどり着いた俺はその大きな建物を見ながらそんな事を呟いていた たどり着いた建物はとにかく大きかった 館の周りはレンガの壁で囲まれており、正面には大きな門もあった 見た目は海外の豪華な館に見えるがー… (―こんな館は見たことがない…むしろ自分の知る限りこんな場所は知らない…) 目覚めた森に抜けた先の湖――そしてこの館 全てに見覚えなどない むしろ付近にこんな場所などなかった筈 結局謎は解けないままだがー… 「―…クシュンッ!」 雨に濡れすぎたのか寒気が止まらずクシャミが出てしまった 今はとにかくこの屋敷で雨宿りをさせてもらうのが先決だろうー…
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