プロローグの様な何か

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「よう銘(めい)。そっちも終わったのか」 「あっ、しーくん。ジャストタイミングだね」 やはり妹の銘だった。通う高校が違うため(銘は優秀な進学校。俺は普通の学校。一歳年上だが学力的に劣っている気もする)あまりこういう場では会えないのだが今日は珍しい。 わかりきったことだが、しーくんとは俺のことである。小さい頃からずっとこの呼び方だ。 「菅野さんは?一緒じゃないの?」 「ヒロインズに捕まった」 「あー」 再び歩き始める。 いたく納得した様子。勿論同情などない。俺に似てその辺はドライな妹なのだ。 「でもしーくんなら連れてこれるでしょ?」 「ヒロインズを、か?」 「わかってるじゃん」 わかりたくなかったよチクショウ。 銘は女性がいけるタイプ。しかも性にだいぶオープン。 いつか歩いただけで捕まるんじゃなかろうか、と危惧している。 「めんどくさいアウェー感半端ない煩い邪魔くさい鬱陶しいリア充爆ぜろ目線の余波が来る姦しいどうでもいい目障り喧しい、だからヤダ」 「美女がいっぱいの一言で覆る!」 「覆らねぇよ?」 「いっぱいのおっぱ」 「言わせねぇよ?」 下ネタがやたら加速している。いつもならもうもう少し後で言うはずだが。生理が来て発情でもしてんのか? ……いや、こいつは万年発情期か。 「なんでしーくんはわからないのさ!」 「あいにくと量より質量派でな」 「ケダモノ」 お前が言うな。少なくともお前よりかは理性的だ。見境ないお前と違って大きいのしか興味はない。 そう言おうとしたとき背後からやかましい声がする。 「鎮ぇー!待ってぇー!」 バカ、もとい瑞季が追い付いたらしい。しかも見事にヒロインズ(しかし若干人数は減っている)を引き連れて。 にしてもあの状態でよく追い付いたもんである。普段ならフラグ乱立させて不可能だというのに。建築技術鈍ったか? 「デュフッ」 穢らわしい声が横から。 銘はよだれを拭いつつ瑞季の連れてきたヒロインズを見つめる。 さながら獲物を見つけた変質者のように 「銘落ち着け。自分を見失うな」 「わーってますぜダンナァ」 あっ、ダメなパターンだこれ。南無。
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