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「まったくひどいよ。置いてくなんて」
「あのままだと恨まれそうだったんでな」
「それでもひど「瑞季シールド!」へぶっ!」
瑞季を盾に飛びかかってきた銘を止める。やり方が外道?知らないなぁ。
盾として女子の前まで突き飛ばしたためちょうど瑞季の顔が飛びかかって抱きつこうとしてきた銘の胸に当たる。
普通ならありえない、ラッキースケベでも信じられないものだが悲しいかな相手が悪かった。あれはただのスケベだ。
「おやおや、菅野さんは私の美乳が好きなのかな?ほれほれ」
そしてそのまま銘は迷わず瑞季に胸を押し付ける。自称Cの胸を。
普通ならヒロインズが騒ぐところだろうが銘に限っては自分も性的に襲われるとわかっているため何も言えない。
それどころか恐怖と驚きの混じった目で見つめる。軽く調教されてやがるなチックショウ。せめて誰か助けてやれよ。
はぁ、とため息を吐き俺は銘を瑞季から剥がす。せめてもの義理である。
「銘、公然猥褻罪で捕まるからそろそろやめとけ」
「牢屋って女の子一杯いると思う?」
「お前は確実に独房だろうな」
性犯罪者に性犯罪しそうな人間である。看守や取り調べの操も危ないだろう。独房どころか地下シェルターでいいレベルだ。
いや、むしろ彼女らが地下シェルターに逃げるべきだろうか。
……違う時代の看守側になったらある意味最強の懲罰者かもしれない。
「じゃあやめよう、菅野さん女の子の恥部を顔面で触った感想は?」
「首がとれそうだったよ……」
「女子の胸で死ねるなら幸せじゃない?」
「殺してるのはお前だけどな」
そんな風にグダグダと話していると交差点に差し掛かる(列は先頭を銘と瑞季、その半歩後ろを俺、その後ろにヒロインズ、でないとヒロインズと瑞季の絡みでなかなか進まない)。
しばらく待って青信号になる。
二人が一歩踏み出して、
直後、俺は二人を一個先の車線まで突き飛ばす。
二人の驚く顔が見えて
俺の体は真横に時速100キロほどに急加速する。
重い重い車体が俺の体をミンチにするようにぶつかってきた。
何回もバウンドしてから落ちる。
視界が血で真っ赤に染まる。
その視界に写ったのは
もう一台の信号無視に跳ねられる二人の姿だった。
アスファルトに赤い線が引かれる。
「………………はぁ?」
理不尽にもほどがある。神様よ、恨むぜ?
なんて間の抜けたことを考えて
俺の意識は落ちた。
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