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……小さくなったのか?と気がついたのは数秒後だった。
ありえねぇ……。サイズ調整でもミスったのかよ……。
そこまで思って俺はため息を吐く。
「にゃー……(はぁ……)」
……今なんて?
えっ、幻聴?猫の声聞こえたよ?しかもため息が。
……いやいやありえない。俺が猫とかナイナイ。
「にゃにゃーん(まっさかなー)」
……ウソダロ?
ちょっと待て神様またミスか?なんで猫だよ?俺は人だったろ?
あのさ……もうさ……
「に゙ゃー!!(ふっざけんなゴラァ!!!)」
「んっ……」
俺の絶叫で銘が目を覚ましたようだ。
「しーくんうるs」
寝ぼけ眼を擦りながら俺を見て、硬直する。
「なんだ夢か」
「にゃーん!?(ちげぇよ!?)」
「うん夢だ夢だ。まさかしーくんが猫だなんて」
「にゃにゃにゃにゃにゃ!(俺だって夢だと思いてぇよ!)」
そして再びの硬直。
そういえばなぜわかるのだろうか?
「……ちょっと見せてね」
そう言うと彼女は俺を持ち上げてじっ……と見る。
「去勢してる……!」
「にゃんにゃ!?(どこ見てんだよ!?)」
「冗談だって」
「にゃあ……(たちわりぃよ……)」
「してなかったよ」
「にゃんにゃにゃ!?(どこ見てんだよ!?)」
しかしそれで銘は納得したようである。
「脇腹の切り傷、そのツッコミ、うんしーくんだね!」
ちゃんと見るべき箇所も見ていたようだ。後者はちょっとよくわからない理由だが。
それにしてもどうやら体の傷はそのままあるらしい。つまり嫌がらせの可能性も浮上してきた。神様は殴られるさだめなのか?
「しーくんは猫かぁ……」
「にゃあ(みたいだな)」「にゃん(不本意だが)」
じーっ、と俺を見つめ
もっふもっふと耳を触る。
「自分の情報知りたい?」
「にゃあ(まぁ、一応)」
「ベースは灰色。ちょこちょこ斑点あり。眼は金に黒の縦線。子猫ってわけじゃなさそう。尻尾とアレはついてるよ」
「にゃんにゃんにゃあんにゃ(いい情報とろくでもない情報ありがとう)」
どこまでも変わらない妹である。バカは死んでも治らないようだ。
「さーてと……。しーくん……どうしよう……?」
これが冒頭までだ。
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