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第2章
石碑を目指すこと30分。
すっかり辺りは山に囲まれている。
「そういえばなんで帰れないのか聞き忘れたな」
「あっ、そうだね……帰ったら聞こうか」
ユウリは話しやすくてとても助かる。鈴音もこれくらいフレンドリーならよかったのに。
「!、誰か居るわ」
ザッ、と歩く足を止め、警戒する。
ゆっくりと足音が近づいてくる。
目を凝らせばそれは老婆であった。
「……おや、若い人がこんな寂れた山に用かね?」
「ええ、まあ」
「そうかいそうかい。…………じゃあ、その前にこの山を楽しんでもらおうかねぇ」
声が男の声に変わった。その異変を感じたときには遅く、3人はいきなり足元に空いた穴に吸い込まれるように落ちていった。
「さぁて、ルナちゃんの新しいお仲間はどうかね?」
ニタニタと笑いながら老婆は若い青年へと姿を変える。
そして手近な岩に座る。
「ルナちゃん、早く来ないかなぁ」
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