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「あながち偶然とは限らないわね。この子ってあんたの部屋を目指してたんじゃない? ねえミウ」
ミウはそれにウンウンと首を縦に振った。まったくアイラの部屋からは出ないようキツく言っておいたのに。
「で、それに何の関係があるんだよ」
「あんたの部屋って、私の部屋の真下だし」
アリスの人差し指の先が真上を指す。
え、そうなの?
確かに階段を登った方向的にそうだったかもしれない。俺の部屋と階層を間違えたと考えるのは不自然じゃないな。
「じゃあたまに夜、天井から聞こえてくる艶っぽい声はーーー」
「無いわ」とアリス。
「たまに夜、天井からギシギシ聞こえてくるあの音はーーー」
「無いわ」とアリス。
「アリスの部屋の意味ありげなマッサージ器具はっーーー」
「ねぇーつってんでしょうがっ!!!」
いつも通りのボケにいつも通りのアリスの蹴りが舞うとーーー
「えっーーー?」
アリスの驚嘆の声。目を丸くして固まった。
「暴力、ダメ」
それもそのはず、アリスの足首を造作もなく掴み上げるミウ。それ以上アリスが力を込めようものなら、危害を加えることも厭わない、そんな気迫がミウの瞳に浮かんだ。
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