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「何一人で落ち込んでいるの?」
アリスがいちはやく勘づいて、ジト目で俺を見下ろしてきた。ホントエスパー。
「ほっといてくれ」
俺は逃れるように視線を逸らした。
そういえばミウの服装が昨日と違う。軽装な町娘の格好から、若干丈の合っていないチュニックシャツにショートパンツ。アリスの私服だろうか。
「胸、苦しい」
「くっ......!」
その言葉にアリスの眉が歪む。ここで反論しようにも自分が情けなくなるだけなのが分かっているのか、握りこぶしを構えてグッと堪えた。あ、やっぱりアリスの服なのか。
ベタだなぁ。
「服、なんて、なんでもいい」
着慣れない服のためか、居心地悪そうにその柔らかい生地を引っ張ろうとする。
「ああ、ダメよそんなことしちゃ。それになんでもいいということはないわ。女の子っていうのはね、お洋服だけでその日の気分が違うし、人によっては性格だって変わっちゃうような、すごく大事なことなんだから」
アリスの普段見せないような優しい瞳。意外と手を焼くのが好きなのかもしれない。たしかにアイラに対しても嫌々言いながら可愛がってるし。
「勝負下着の話か?」
「殺すわよ?」
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