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「a sieh.......」
つい出てしまう母国の言葉。ククルはしまったと、すぐに両手で口を塞ぐ。
「落ち着きなさいククル。女中の恥はお家の恥です。常にあなたの気の足らぬ一挙手がエルアランドの名前を落とすことに繋がるということを心しなさい」
エトナは厳しい叱責とは裏腹に、ククルの軽い身体をヒョイと持ち上げると、ゆっくりと足をつけてあげた。
「ア、アリガトウゴザいますっ......!」
さらにエトナはククルのヘッドドレスを整えてあげると、「それとーーー」と向き直る。
「ハイ......っ」
それに対してククルは今度は何事かと、また縮こまるように居住まいを正した。
「昨日の侵入者の件です。あなたは侵入者の顔をみたんですよね?」
「ソレハ......」
言葉につまるククル。
ククルの銀汽笛が鳴ったことは既にメイドたちに知れ渡っていた。銀汽笛自体は緊急のためにメイド全員が所持することを義務付けられているが、屋根の上に登れる機動力のあるメイドは数がだいぶ絞られるからだ。当然のことだが、あの笛の音もオトでなくククルが吹いたことになっている。
喉がつっかえるような、うまく表現できない言い出し辛さ。
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