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「ゴメンなサイ。ミえ......ませんデシタ」
結局、口から出たのは嘘だった。ククルは緊張からかメイドドレスを握りしめて俯いている。
エトナがそれを見てどう思ったのかは分からない。少しの沈黙の後ーーー
「......そうですか。では何か思い出したらどんな些細なことでもすぐ報告なさい」
そう機械のように言ってさっと踵を返すと、一瞥を残して食堂の方へと去って行ってしまった。
全てを見通してるのだろうか。
ククルはその背中を見送ると、その場でまたへたりこんでため息をつく。
「あれ? ククルん!」
背後の声に、また背筋が凍るのだった。
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