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うって変わってギロリと睨まれる。
「............」
やはりそこに気付いたか。
高等区画の家屋というのは古くからの屋敷を再築した物が多く、利権や格式によって区画整理というものが中等区画や市街区よりも存外進んではいない。いくら何度か忍び込んだことはあると言えど、一つ一つが広大な敷地の上に、主幹線道路以外は非常に入り組んでいふので、ちょっとやそっとで目的地に着くのは難しい。
「誘拐?」
「殺し」
「あんたが?」
「俺がついた時には既に家の人間は全員死んでた」
衣装ダンスの中で怯えているミウを見つけたのはその時。
決して難しい仕事ではなかった。少し踏み込むのが早かったらミウの両親を殺してたのは俺だ。
犯人は俺と同じように雇われた旧市街の人間。屋敷の荒らされ方からして複数人だ。俺はていのいい保険代わりということ。
「ターゲット自体はミウの両親。もちろん見つかっていたらアイツも殺されている」
「ふーん、あの子を連れ出したのは憐れみ? 同情? 庇護欲?」
アリスの冷たい視線。どんなに軽蔑されたところで関係ない。
「そんなわけあるか。単純に小遣い稼ぎになると思ったんだよ。殺しの依頼に関しては俺に一銭も入ってこねえんだから」
名家のお嬢様なんだからたんまりと身代金が取れるだろう、と。
あ、結局誘拐か。
ただ、身代金を要求する家の人間が既にお星様になっているのは誤算だった。
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