第一話 ペンは剣よりも強し、 されど銃口の切先には能わず

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「誤算じゃなくて考えなしでしょ」 あの時のギムと同じセリフが返ってきた。 やっぱり? 「そのことをあの子は?」 「どうなんだろうな。まぁ知っていても知らなくてもそれこそ俺には関係ない。救いの手を差し伸べた覚えもないし、アイツが報われたかどうかなんて他の誰にもわからないんだから」 アイツの身体を見たお前なら分かるだろう? 俺の言葉の裏も読み取れるはずだ。 「虐待......ね」 傷ーーーミウの身体を覆うおびただしい数の傷。火傷。裂傷。鬱血痕。打撲痕。もちろん外見じゃわからない箇所にーーー ............もし、今でもミウが高等区で暮らしが続いていたら。 「教育の賜物だな」 俺の皮肉に、アリスは珍しく苦い顔をして頷いた。 「.......そうね」 教育とは名ばかりの暴力ーーーとはいえ高等区画のお家柄。表立って気づいたものは皆無だったろう。 一家惨殺、娘は行方不明として事件は幕を閉じた。 「ねぇ、本当に小遣い稼ぎ?」 アリスのジト目に俺は「さあな」と曖昧に返す。 俺は聞こえた。 あの屋敷からミウを連れ出す際、確かに聞こえた。 『ありがとう』 でも今回は次の言葉でお茶を濁すことにしよう。 ーーーそれはまた別のお話............みたいな。 *************
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