case.2

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ダンッ!ダンッ!ダンッ! とある射撃場。とある狙撃手が的を一定の間隔で射抜くと、周りからヒュ~っと歓声が上がった。 そんな中、ただ一人レイは顔をしかめ、低く唸った。 「どうだレイ!俺の腕見たか!これならお前の相棒も難なく務まるだろ?」 「………」 「おい?」 レイは無言で、自信満々に語る男の肩にぽんと手を置いた。 「…この度はご縁がなかったということで」 「え、何でだよ!おい!レイ!レーイ!」 そのまま踵を返すレイの背中でまだ男が何か叫んでいたが、お構いなしにレイはその場を立ち去った。 相棒探し、などをしているわけではないのだ、別に。誰かとバディを組む気になったわけでもないのだ、全く。 ただなんとなく、本当になんとな~く、銃の腕の良い奴がいればいいかな?ぐらいにほんのちょっと思っただけなのだ。ただほんの少し思ったソレが、ほんの少し何気なく口をついたのを、たまたまマイクが聞きかじったことから、ことは起こった。 「なんか、どっかに超腕利きのガンマンっていねーもんかね」 「………」 この時のマイクの顔といったらない。開いた口が塞がらないというか、塞ごうと思う余裕すらないという感じだった。今思い出しても笑える。いや、でもこのせいであとあと面倒なことになるので、やっぱり笑えない。 「レ、レイ…本気か?」 「あ?ああ」 これが約ひと月前のことで、そこから『あの万年フリーのレイが相棒を探してる』『条件は凄腕のガンマンだ』…なんて根も葉もない噂が広がるのに、一週間もかからなかった。 そして日々マイクから腕利きと評判のガンマンを紹介されたり、自ら名乗りをあげる奴なんかもいて、それをいちいち断るのに正直レイはもう辟易していた。 今日も全く同じパターンで、ある自称世界一の腕利きガンマンが自分の腕を見てくれと言ってきたため、射撃場に付き合ったのだった。 が。 まぁすごいはすごいし、決して下手ではもちろんないのだが…レイの心にはどうも響かない。それぐらいだったら俺でも出来る、とか思ってしまう。そして実際できるのだから仕方ない。 (…つい、アレと比べちまうんだよなぁ…) あの日から。レイの脳裏に浮かぶのはある鮮烈なイメージだ。 重力を感じさせない銃さばき。それでいて目を瞬く間も与えず、吸い寄せられるかのように命中する弾丸。 そして、琥珀色の鋭い宝石と。 緩やかに弧を描いた、あの唇。
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