第1章

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「ねーねー、一ノ瀬さんどう?」 後ろの席から聞こえてきた声が気になった。 一ノ瀬とは、博貴のことだろうから。 「かっこいいに決まってるじゃない。 山瀬さんの補佐とはいえ、一緒に仕事ができるなんて幸せよ。」 「仕事だけじゃなくて彼女の座も狙ってんじゃないの~?」 「あ、バレた? でも山瀬さんとデキてんじゃないかな~。」 山瀬さん。 美人で仕事も若手の中ではズバ抜けている。 博貴と山瀬さんが2人で進めた企画が大成功し、最近では女性営業の山瀬と企画部エースの一ノ瀬に任せれば間違いないと噂されている。 「あおい~? ぼーっとしてどうしたの? 箸止まってるよー。」 真麻の声でやっと戻ってきた。 「な、何でもない。 ちょっと午後の仕事のこと考えてただけ。」 「仕事熱心なのは素敵だけど、もうお昼終わっちゃうよ。」 時計を見るとあと10分で休憩が終わってしまう。 「やば。」 急いで箸と口を動かし、急いで仕事に戻った。
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