第1章

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午後の仕事は集中できなかった。 博貴の好きな人が山瀬さんなんじゃないのかって、そんなことばかり考えていた。 本当は同じ課だから一緒に仕事ができるはずなのに、私だけ新規プロジェクトから外されている。 初めて自分1人だけで仕事を任せてもらっていて、それに専念できるように配慮して頂いているのだ。 一人前って認められて嬉しかったけど、だからこそ一緒に仕事ができなくて、山瀬さんとの関わりも見ることができなくて、今は少しだけ凹む。いや、だいぶ凹む。 そして私だけが残っている島は、悲しさが増していた。 山瀬さんは博貴と同期だ。 同期飲みなんかもやってるから仲も良いんだろうな。 「丸ちゃん、どしたの? なんだか背中がどんよりしてるわよ。」 職場の女性の先輩方は、私を丸ちゃんと呼んで可愛がってくれている。 丸岩あおいだから丸ちゃんだ。 「愛子さーん。」 隣の課の愛子さんに私は泣きついた。 「煩悩が私を支配します。」 「何を悩んでるのかは知らないけど、仕事が捗らない時は、思い切って気分転換するのも大事よ?」
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