第1章

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***** * * * * 私は誰よりも早く仕事が終わってしまった。 同じ課のみんなはあともう少しかかりそうだった。 「丸岩。俺らのことは気にせず帰れよ。 明日は営業にこてんぱんにやられるかもしれないんだから早く帰って体力つけとけ。」 歯に衣着せぬ物言いをするのは課長。 言い方が乱暴だからか、普通に優しく言われるより素直に従えてしまう。 上からは知らないが、下の者は、みんな課長を信頼している。 「明日が怖くなるじゃないですか。 でも課長の言う通り、体力つけさせてもらいます。」 荷物をまとめて、みんなにお先に失礼しますと声をかけて、本当に先に退社した。 本当はサービス残業で構わないから博貴を待ちたかったけれど、さすがに怪しまれかねないので諦めた。 U駅に向かう電車の中で博貴にメールをしておいた。 ーU駅のスターダストで待ってるね。ー スターダストとは、有名なコーヒーのチェーン店である。 そこで買ったばかりの雑誌を眺めながらのんびり待つことにした。
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