第1章

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1時間後くらいに博貴が現れた。 「ごめん、結構待ったろ。」 「大丈夫だよ。平日に博貴の家に行くなんて久々で、ある意味待つことも楽しんでたから。」 嘘をついた。 待ってる時間が苦痛だったわけではないが、どんな風に聞くか散々悩んでいた。 しかも平日どころか博貴の家に行くこと自体が久々で、少し緊張していた。 「いや、それでもごめんな。んじゃ帰ろうか。」 差し出された手に戸惑ったけれど、しっかりと握り返した。 それからの博貴は、今までの私の悩みは何だったのって思えるほど普通で、考えすぎなんじゃないかと思うと、なかなか山瀬さんのことが聞けなかった。 それでもしこりを残したくなかった私は、ともにシャワーを浴び終えて、ゆっくりテレビを見ながら寛いでいるときに切り出した。
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