第1章

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「今回のプロジェクトも上手くいきそうだね。」 声は震えなかったと思う。 ただ、きちんと笑えていただろうか。 「まあな。 我ながら上出来だと思ってるよ。」 「いや、本当に凄いと思うよ。 クロスメディアをウチから持ちかけるなんて、私だったら考えもつかない。」 「まぁそこは課長を含めた、課のみんなの力もあってだし、もちろん営業の力もないと厳しいからな。 確かに考えたのは俺だけど、1人じゃ絶対に無理だった。」 博貴は世のクロスメディア戦略を、広告代理店であるウチから提案した。 ターゲットは若い女性たち。 乙女ゲームを基本にしている。 まずは若手俳優でオーディションを行い、モデルとなるメンバーを決める。 次に彼らをモデルとしたキャラクターを作り、いわゆる乙女ゲームの製作。 それから漫画やアニメの展開。 そして最後は実写化のドラマとなる。 俳優から入ってゲームや漫画に手を出す人もいるだろうし、ゲーム等からモデルとなった俳優に興味をもつ人も現れるだろう。 二次元からも三次元からも入口があるのだ。 そしてウチはそれらの広告を一気に担っていける。
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