第1章

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「営業の力っていえば、やっぱり山瀬さんの力も大きいの?」 「山瀬はすげーな。 乙女ゲームなんて興味ないのに、一生懸命調べてたしな。 テレビ局とか出版社とかにもすんげー売り込んでくれたし。」 「きょ、今日、山瀬さんの後輩にあたる人が社食で話してたからさ。 や、やっぱ凄いんだねー。 博貴と山瀬さんが組めば間違いないって、みんなも言ってるし。」 どもってしまった。 怪しすぎる、私。 「…あおい、もしかして妬いてんの?」 妬いてるっていうレベルじゃない。 奪われると思っている。 博貴がいなくなると思っている。 途中から顔を見ることができなくなっていた。 何と答えて良いかも分からなくなり、無言が辛くなってきた。ちらっと博貴の顔を見ると、まさかの満面の笑み。 私は固まってしまった。 博貴の顔が想像していたものと違ったから。 私が妬いたことが嬉しくて仕方ないっていう顔だ。 それって、私のことが好きってことでしょ? 愛情を感じるのはなぜ? ぐるぐるぐるぐる悩んでいたら、博貴にぎゅーっとされていた。
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