第1章

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***** * * * * 最初に異変に気付いたのは3ヶ月前。 異変かどうかも微妙なラインだった。 正直、今思えばって感じだ。 私が初めての出張から帰ってきた日のこと。 博貴とご飯を食べに行くことになっていた。 帰り着くのは19:00くらいになるということで、直帰して良い許可を得ていたため、駅で待ち合わせる約束をしていたのだ。 出張で疲れていたこともあり、博貴の顔を見たくて、駅の入り口で心待ちにしていた。 ピロン。 携帯が鳴ったので見てみると、 ーごめんな。仕事が終わりそうにないから今日の約束は中止で頼む。ー 博貴からの連絡だった。 彼の性格上、そして今までの経験上、約束に断りを入れる時は電話だ。私が電話を取れない時にはメールとなるが、まず始めに電話なのだ。 それなのに始めからメール。 珍しいなとは思ったけれど、この時は特に気にもしなかった。 とりあえず私から電話をしてみた。 トゥルルル、トゥルルル… 出る気配がない。 同じ職場だ。 定時を過ぎてからのプライベートな連絡をとやかく言う人はいない。 博貴に会えないことに、残念だなとは思ったものの、仕方がないので帰ることにした。
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